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2014年11月13日 (木)

書物に記された言葉が聞こえてくるまではひたすら我慢しなければならない

5年前の冬に博論を出してからも、フランチシェク・バルトシュ(1837-1906)の文章には正直全く歯が立たなかった。バルトシュは、19世紀のモラヴィアで活躍した言語学者でもあり民謡研究者でもあったという人物である。1880年代から歿年に至るまで作曲家のヤナーチェクとともに民謡研究に従事しており、19世紀のチェコ人による民謡研究について考える際には彼の業績を避けて通るわけにはゆかない。

昨晩、必要に迫られて文字通りヤケクソ半分で1870年代初頭に書かれた文章を読んでみたところ、不思議なことにすっと読めるようになっていた。辞書首っ引きであったとは言え、何をどう調べればよいのかがすぐに見当がつくようになっていた(19世紀前半生まれの知識人の文章を読む際には、19世紀後半生まれの知識人にはあまり使われなくなった古い語法や統語法に関する知識が要求されるので、辞書を引いてお目当ての用法を見付けるだけでもものすごく骨が折れる)。当たり前のことながら、ある言葉に習熟するにはものすごい時間が必要になるということを、改めて痛感させられた。ともあれ、院生の頃から読もうと何度も挑戦してきたものの、そのたびにことごとくはねつけられ続けてきたものだから、読むためのコツを知らぬ間につかめていたことが分かってとてもうれしかった。チェコ語の勉強を始めてからヤナーチェクのモラヴィア民謡に関する一連の論考が読めるようになるのに約13年、バルトシュの文章を読めると確信できるようになるのに16年かかったということになる。書物に記された言葉がこちらに「聞こえてくる」ーー単に字面を追えたり、文章に書かれている内容を把握するだけではなく、あたかも著者が肉声をもって語りかけてくるような感じで読めるようになるーーにはそれ相応の時間がかかるし、そのような状態に至るまではひたすら我慢しなければならない、ということなのだろう。

というわけで、院生の頃からやってみたかったことながらもあまりの語学力のなさ故にいつも挫折していた、19世紀に出された古典的なボヘミア民謡集とモラヴィア民謡集の序文の総ざらえという荒行に近々挑戦してみようと思う。

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