文化・芸術

2016年5月10日 (火)

[文化] ろくでなし子氏へ下された判決について

わたしには、「ろくでなし子」と名乗るこの人物が「芸術家」を名乗れるほどの志が高い作品を発表しているとは到底思えない。また、FB上で在特会を支持していることを「いいね」などを通して表明していた連中が《自分自身の手で》自分のプロフィールに掲載していた実名や勤務先について記していた情報をコピペ作業のみで収集し、まとめたデータをネット上に公表したに過ぎないある人物がネトウヨどもの電凸などの報復活動によって勤務先から馘首され、自宅の場所も突き止められた挙げ句に家族がさまざまな嫌がらせを受け続けていた頃に、この御仁はこの一件について愚にも付かない数々の発言をネット上で繰り返し、周囲から叱責されたり批判されたりしてもなお居直り続け、愚かな文字列を排泄し続けていた。このことに鑑みると、この「ろくでなし子」を名乗る人物は、筋道の通った思考を働かせる力や倫理感そして感性的認識(短くまとめると「真善美」)などこれっぽっちも持ち合わせてはおらず、むしろその場限りの炎上商法を通してでしか「表現活動」とやらに従事できない、芸術家気取りの単なる有害な脳足りんに過ぎない、と言わざるを得ない。
だが、そんなゴミクズ未満の自称作品を垂れ流しているだけの「自称芸術家」あるいは、作品創作の場を離れれば文字通りの単なる「ろくでなし」としか言えないような人物ではあっても、他者の人権を侵害したり、尊厳を踏みにじらない限りは、一個人による表現の自由はどこまでも守られなければならないと思う(わたしも含めて、芸事や人文学や社会科学の研究に従事する人間は、どんなに業績の質が高かろうが、しょせんは「ろくでなし」、もしくは「ダメ人間」あるいは「穀潰し」でしかない)。だからこそ、わたしはこの人物による「作品」へ下された有罪判決には強く抗議したい。そしてまた、この人物が先述した一件において他者の尊厳を大いに踏みにじり続けていた件については、本人が公の場で真摯に謝罪しない限り、わたしは絶対に許さない。

2015年1月 2日 (金)

中学入試で外国語の試験をする必要はない

この記事を読んで、ひたすら呆れた。ああいうバカなことはやめておけの一言しかない。どうせ三流以下の再読にたえない幼稚な駄文に穴をぼこぼこ空けた代物に適当な語句を埋めさせたり、この文章と合致する選択肢はどれですかという類の、大学入試や高校入試で盛んに行われている宝探しゲームになるのがオチだろうし、そんなものが高速で解けることと語学ができるーーつまり、まともな内容の文章を読めたり、読み上げられたものを聴けたり、あるいは自前で筋道立った内容を持った文章を書けたり、あるいは発話行為を行えたりするようになるーーこととは何の関係もない。摩天楼よりも高い偏差値を誇る有名大学に合格できてもまともに英語を読めたり書けたり話せたり聴けたりしないという話は跡を絶たないわけだが、それは要するに宝探しゲームでハイスコアを叩き出すための技術を習得することに腐心する一方で、言葉を能動的に使えるようにするためのガチンコ勝負の基礎訓練を回避したり、あるいは怠って来た結果に過ぎない。こうした情けない事例を脳科学還元主義(?)を経由して日本人には語学の習得能力が低いなどといった一般的な結論に落とし込むことは、根本的に間違っている(この種の救いようのない駄弁もまた跡を絶たないわけだが……)。斎藤兆史氏の『英語達人列伝』を読んでみれば、そんな寝言など簡単に粉砕される(貴殿は19世紀の中東欧の人間ですかと言いたくなるような、氏の能天気なまでの言語ナショナリズムには大いに問題ありだと考えずにはおれないのだが、それはここでわたしが論じていることがらとは別の問題に属するのでここでは不問に附することとする)。中学入試で蟹文字を利用した下劣な宝探しゲームを導入することで子どもにおかしな言語観を埋め込んでしまうぐらいだったら、彼らの大半にとっては母語である日本語(もちろん、日本語が母語でない者だったら、彼ら彼女らの母語について想定されたい)でどれだけ文章の論理を理解できたり、自前で構築性の高い文章をどの程度書けるかをテストした方がはるかにマシであると言わざるを得ない。自前で筋道立った考え方ができるように訓練しておかないと、何をやっても無駄だ。かりに外国語をいっちょこまえに「話せる」ようになったところで、せいぜいこの国に観光にやって来られた白人様の道案内やパーティのホストあるいはホステス役ぐらいしかできなかろう。それで良いと言うのだったら、どうぞご随意にとしか言いようがないが。それがいやだと思うのだったら、小手先の瑣末な技術論に淫するのではなく、そもそも言語を学ぶとはどういうことなのか、人を試験するとはどういうことなのかということを今一度真面目に考え直すべきであろう。このような根本的な問題を無視して無難に前例を踏襲し続けてゆくようだと、この国の未来は今以上に反知性主義に牛耳られた暗くてどうしようもないものになってゆくだろうと言わざるを得ない。

2014年11月13日 (木)

書物に記された言葉が聞こえてくるまではひたすら我慢しなければならない

5年前の冬に博論を出してからも、フランチシェク・バルトシュ(1837-1906)の文章には正直全く歯が立たなかった。バルトシュは、19世紀のモラヴィアで活躍した言語学者でもあり民謡研究者でもあったという人物である。1880年代から歿年に至るまで作曲家のヤナーチェクとともに民謡研究に従事しており、19世紀のチェコ人による民謡研究について考える際には彼の業績を避けて通るわけにはゆかない。

昨晩、必要に迫られて文字通りヤケクソ半分で1870年代初頭に書かれた文章を読んでみたところ、不思議なことにすっと読めるようになっていた。辞書首っ引きであったとは言え、何をどう調べればよいのかがすぐに見当がつくようになっていた(19世紀前半生まれの知識人の文章を読む際には、19世紀後半生まれの知識人にはあまり使われなくなった古い語法や統語法に関する知識が要求されるので、辞書を引いてお目当ての用法を見付けるだけでもものすごく骨が折れる)。当たり前のことながら、ある言葉に習熟するにはものすごい時間が必要になるということを、改めて痛感させられた。ともあれ、院生の頃から読もうと何度も挑戦してきたものの、そのたびにことごとくはねつけられ続けてきたものだから、読むためのコツを知らぬ間につかめていたことが分かってとてもうれしかった。チェコ語の勉強を始めてからヤナーチェクのモラヴィア民謡に関する一連の論考が読めるようになるのに約13年、バルトシュの文章を読めると確信できるようになるのに16年かかったということになる。書物に記された言葉がこちらに「聞こえてくる」ーー単に字面を追えたり、文章に書かれている内容を把握するだけではなく、あたかも著者が肉声をもって語りかけてくるような感じで読めるようになるーーにはそれ相応の時間がかかるし、そのような状態に至るまではひたすら我慢しなければならない、ということなのだろう。

というわけで、院生の頃からやってみたかったことながらもあまりの語学力のなさ故にいつも挫折していた、19世紀に出された古典的なボヘミア民謡集とモラヴィア民謡集の序文の総ざらえという荒行に近々挑戦してみようと思う。

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